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朝日新聞の姿勢を象徴する9/17社説

9月17日の朝日新聞の社説は、

  • 靖国批判 米国からの問いかけ
  • 竹中氏降板 改革の成果と限界と

の二本立てだった。靖国批判の方は、米下院の外交委員会で靖国神社の軍事博物館遊就館の戦争観を批判し、A級戦犯を合祀した靖国神社を首相が参拝したことを批判する発言があったことを報じている。小泉首相が靖国参拝を批判するのは中国と韓国だけだと言い続けてきたが、それは政府の公式発言に限ったことであることを指摘し、今回の米国からの批判について、

「内政干渉」と退けるのは筋違いだろう。彼らが問題にしているのは、彼らも戦い、あるいは巻き込まれた戦争についての歴史認識だからだ。

と書き、「日米同盟の原点」である自由と民主主義を掲げるならきちんと受け止めるべきだとしている。「日米同盟の原点」はともかくとして、もっともな批判だと思う。

これに対して竹中氏降板の方では、竹中氏を郵政民営化や不良債権処理を仕上げ、「並の政治家では太刀打ちできない豪腕ぶりだった」と持ち上げている。改革の限界としては残された問題と「副作用」としての格差問題だという。
ここには一貫して郵政民営化を支持し、構造改革を基本的には支持してきた朝日新聞の姿勢がよく現れている。規制緩和の結果として噴出してきた様々な問題、耐震偽装問題、ライブドア・村上ファンド問題、雇用の状態の悪化などはあくまでも「副作用」とし、「小さな政府」、「規制緩和」自体は正しい方向だという立場を堅持している。

しかし首相の諮問機関の規制改革・民間開放推進会議の中心になって規制緩和をすすめてきたオリックスの宮内会長が村上ファンドに大金を投資していたり、オリックスが規制緩和で生まれるビジネスを先回りして作り出していること、雇用に関する規制緩和で大企業がリストラ・合併をしやすくして、利益を拡大していること、あるいは、保険に強いアメリカ資本が郵政民営化で日本への進出を有利にするなど、この間日本社会を大きく変貌させてきたものは「構造改革」がやはりそれで利益を得る人々からの要求で行われてきたととらえなければ説明がつかないのではないだろうか。

社説は「竹中氏の退場は、しょせんは既得権に安住」する「自民党政治の限界も示している」と締めくくっているが、「既得権」など構造改革推進用語を使ってさらなる「構造改革」を促すこの社説は、靖国問題などでは右翼的潮流に流されないスタンスを持ちながら、「構造改革」などの基本的な経済問題では本質を見られない、朝日新聞の限界をこそ示しているというべきだ。

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